それが、気がついたらブランドが終了していて、驚きました。2016年春夏コレクションが最後だったようです。
原宿の路面店がなくなったりしたので、ちょっとおかしいなとは思っていましたが…
寂しいですね。
ブランドの歴史は意外と古く、1885年にイギリスのロバート・ニューボールドという人がつくった洋服店が発祥のようです。1990年に経営危機に陥り、ポール・スミスが買収し、実質的なセカンドラインになりました。
ポール・スミスは買収後、Ｒ．ニューボールドの「真のアイデンティティー」を追及するため、歴史を綿密に調べ直したといいます。その結果、ブランドを3つのカテゴリーに分けました。
①サービス（軍隊や消防、救急のために作られた服）
②ワークウェア(20世紀初めに炭鉱婦や港湾労働者、工員が着ていたような伝統的なイギリスのワークウェア)
③アルチザン(20年代から30年代の作家やアーティストが着ていたような服)。
…とまあ、ビンテージやユニフォームをモチーフにしているのですが、そこに現代的なデザインも加えて、カジュアルでかわいらしい洋服が多かったように思います。
↓マリンコート。左は10年以上前の。右は数年前の。
↓数年前の。
↓10年以上前の。
↓数年前の。アイコンのRampant Lionが刺繍されています。
↓10数年前のRampant Lionは水色。
このRampant（後ろ足で立ち上がった）Lionというのは、紋章学の用語です。ライオンは強者の象徴として、さまざまな王家の紋章に使われてきました。スコットランドの紋章にも使われています。
ちなみに、ライオンの紋章は、その姿勢によってPassant（歩いている）、Sejant（お座りしている）などの種類があります。また身体の向きは左向きが通常で、右向きはCounter（逆の）といいます。ですから、このマリンコートのライオンはいずれもCounter Rampant Lionです。
↓こちらはテーラードジャケット。右が夏用のジャージ素材で、左は冬用のツイードです。
↓冬用のツイード生地は、ムーン社製。
ハリスツイードよりも生地が詰まっていて、パリッと固い印象です。
↑冬用ジャケットの裏地。ポールスミスもそうですが、ちょっと遊びすぎな気がします…。
↓かなり前のコットンシャツ。
↓ほかのブランドとコラボすることも多くて、これはoi polloi（オイ･ポロイ）というイギリス・マンチェスターのセレクトショップとのダブルネームです。
これももう10年近く前のシャツですが、現役です。茶色いニットタイを絞めて、茶緑のハリスツイードに合わせたりしています。
ほかにもTシャツやらネクタイやら上着やら、いろいろと持っていました。一部は今も着ています。
ファッションに目覚めたばかりで、ブランドを着てみたい。でもお金がなかった学生時代。そんな私に、セカンドラインながら「ポール･スミス」のブランドは魅力的でした。私の周囲にも、そういう友人がいました。
振り返ってみれば、社会人になって服飾にお金をかけられるようになった後も、ちょくちょくR.ニューボールドに通っていました。コムサやタケオキクチなど、年を重ねるごとに足が遠のくブランドもありましたが、R.ニューボールドは特別でした。私にとっては「お金がなくても手を出せるブランド」から、「服飾のおもしろさを教えてくれたブランド」に昇華したのかもしれません。
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