ウエアハウスの800XXです。
ウエアハウスと言えば1001ですが、800も、もう10年近く続く定番品です。
今ではカンヌキ留の赤タブもついて、800XXになっています。
↑まだ1001を穿き始めたばかりなので、出番はいつになることやら…。
シルエットは、1001より腰回りをすっきりさせて、ひざから下のテーパードは弱めた形だそう。フルカウントで言うところの1108のような形。ただ、私にはウエストがきつく、ワンサイズ上げたら1001とあまり見分けがつきません。。。それでも生地の違いを楽しめるからと購入してしまった私は、ええ、狂ってます。
↓フロントボタンは1001XXや900XXより1つ多い5つ。
↑バックポケットはやや小さく、スタイリッシュな印象です。
↑ランニングナンバーのタグと一緒に縫われた皮パッチ。
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この800は、リー〇イスのレプリカ狩りを思い出させるモデルです。
レプリカ狩りーー。
かつてのエアマックス狩りみたいな、
怖い人がジーンズを奪うという話ではありません。
ある意味ではもっと怖くてドロドロした、オトナの実話です。
日本では1990年代半ばから、レプリカブームが巻き起こりました。
当時は有象無象のメーカーが競ってリー〇イス5〇1XXをモチーフにしたモデルをつくりました。某有名メーカーの代表が、ビンテージのXXを解剖して研究している場面が雑誌に載ったこともありました。「この5○1の生地を分解したんだよ」と。
ミミ付きの濃色デニムでレザーパッチ、レーヨンの赤タブは当たり前。パッチのデザインも、ツーホースに似せてバイクやアパッチヘリが引っ張るデザインにしたり、アーキュエイトステッチまで似せたモデルもありました。エビスは赤タブに「EVIS」と刺繍して「LEVIS」ぽく見せました。また、エビス代表の知り合いが起こした「ガーデナー」というブランドは「UEKI'S」と刺繍して、やっぱり「LEVIS」ぽく見せていました。
ここまでやると怒られても仕方ないですが、みんなこぞってビンテージのリーバイスを目指していました。そこには、もう手に入れられないモノへの憧れがあったように思います。
2000年代中ごろにブームが去っても、一部のメーカーはレプリカブランドとして定着し、「ジャパンデニム」は海外でも評価を高めました。フルカウントなんかは、海外にも直営店を設けました。
すると2007年、リーバイスは報復に出ました。米国内の裁判所に、日本のレプリカメーカー10社超を訴えたのです。ステッチと赤タブの5ポケットジーンズが米国で販売されたために商標権が侵害された、と。
中には和解に応じる社もありましたし、最後まで戦って勝訴したブランドもありました。「アメリカで売らなければいいんだろ」と、逆に日本国内で赤タブなどを商標登録したメーカーもあります。
しかし、「どこまでリーバイスに近づくか」というレースは、ここで終焉を迎えたように思います。みんなリーバイスをリスペクトして近づこうとしたのに、リーバイス側から「ふざけんな」と言われてしまったわけですから…。各社ともXXモデルとか66モデルとか言わなくなり、現代風にアレンジしたり、オリジナルの型紙でジーンズをつくり始めました。
特に、ビンテージの再現で一目置かれていたウエアハウスが、看板モデル1001の大幅見直しに踏み切ったのは衝撃でした。赤タブのほとんどが隠れるように縫い付けたり、赤タブを模した赤いカンヌキだけにしたり…。ある意味、リーバイスとの確執に最も左右されたのがウエアハウスかもしれません。
リーバイスの実物にこだわらないシルエットの800や900を発売したのもこの時期です。当初は赤タブもつけていませんでした。
昔の仕様のままジーンズを作り続けてきたのは、有名どころではフルカウントとエビスぐらいではないでしょうか。そのフルカウントも、2019年に赤タブとバックポケットステッチをやめました。リーバイスとの確執とは関係ないといいますが、赤タブの経年変化が好きな私としては寂しいものです。
一方、大きな仕様変更を迫られたウエアハウスですが、ビンテージの追究をやめてしまった訳ではありません。最終的に、赤タブをカンヌキで留めるという仕様に変え、いろいろな年代の特定のジーンズをモチーフにしたモデルを作り続けています。
大戦モデルとか、46年モデルとか、51年モデルとか、特定の年代の特定のジーンズを参考に作られていることは間違いないでしょう。
そしてオリジナルパターンの800と900にも、2018年からカンヌキ留めの赤タブが加わり、「XX」となりました。
いったんリーバイスから離れたように見えて、しぶといウエアハウス。このブランドの探究心や再現力は、こういう粘り強さから来ているんじゃないかな、と思わされます。
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